著者の小川一水氏っていうと、ソノラマやらハヤカワでSFっていうイメージが非常に強い作者さんだったんですが、
ふといつも行かないほうの本屋に行って見た所、なんか面白そうな歴史ファンタジー小説が。
って、しかも小川一水著?!まーじかー!?
2008年に文庫で出版された物の改定、文庫版のようです。
宇宙やら機械やらの小説を書いていた人が、どんな風に神聖ゲルマン帝国時代のドイツの話を書いてくれるのか、
それだけが面白そうで、速攻購入。
読み出してみたんですが…
正直最近の電車の往復にiPhoneではなくてまずこの文庫を出してしまうぐらい面白い!
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14世紀の神聖ローマ帝国時代に人と宇宙から来た生命体がコンタクトしたらっていう設定。
この宇宙からっていう辺りが凄くSF的なスパイスを出している訳なのですが。
この宇宙からの生命体は一応主役でありながら、正直メインは他の、14世紀の時代の人々。
貴族の息子でありながら、親に疎まれて貧しい村の領主として飛ばされながらも、
実はその地は古代ローマ時代の都市が有った所で、その地の利を生かして街をもり立てていく、
その紆余曲折やら外敵やらを書いた、本当に歴史を読んでいるかのような話。
当時の人々の生活や躍動感、そしてこのレーズフェントを作り、色々な問題を解決し、
そして自分たちの居場所を作って行く、苦難を乗り越えて居るべき場所を作って行くという
人の歴史を書いた良質なファンタジーになっているかと。
で、肝心な生命体の方は、たまーーにご都合主義な所も有りますがw
要所要所でスパイス的に登場するのみで、みずからが強大な力を振るって敵を打ち払うとか、
魔法のように食べ物を出現させて飢えから救うといった事はしません。
あくまで、人とその日々の生活を主に、歴史として書かれています。
でも、この生命体が居る事が、この話をただの単調な歴史の話として終らせない、
いいバランスでSFと歴史がミックスされた内容になっていると思います。
歴史ファンタジー系の小説だと、壮大な話を書く(そして中々先を書いてくれないw)田中芳樹、
ファンタジーという領域でありながら、その躍動感が伝わってくる花田一三六(こっちも書くの遅い…)
といった所が私の好みの範囲だったのですが、今回のこの作品を受けて他の作品も読んでみたくなりました。
ファンタジー好き、あるいは歴史好きなら一度読まれてみるとよいかと。
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